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外国為替市場:EUサミットでの移民問題合意を受けて、インデックスで最大の割合を占めるユーロが上昇したことにより、本日の米ドルインデックスは0.5%低下しました。市場のリスクオンの流れにより、リスク逃避先資産の円は下落しました。
株式市場: 貿易問題のリスクが上昇しなかった為、昨日の米株式市場の終値は上昇しました。ハイテク関連株の多いナスダック指数は0.79%、S&P総合500種は0.62%、ダウ工業株30種は0.41%上昇しました。EUサミットでの結果の影響により、本日の米主要株価先物指数は大幅に上昇してのオープンを示しています。
株高はアジア株式市場でも引き継がれ、日経平均株価とトピックスはそれぞれ0.15%と0.23%上昇しました。香港株式市場は1.58%上昇しました。
欧州市場では、主要株価先物指数は1.0%以上上昇してのオープンを示しています。
コモディティ: 昨日のUSセッションで急騰した原油価格は、本日には若干下落しました。昨日に3年半ぶり高値74.03ドルまで上昇したWTI原油先物は、0.2%下落しました。ブレント原油先物は0.1%下落し、1か月ぶり高値を若干下回る水準で推移しています。原油供給に関する新たなニュースがないことから、原油価格上昇の要因は、米ドルの下落、及び市場のリスクオンの流れが考えられます。
本日のゴールドは0.3%上昇し、1250ドル付近で推移しています。
主要な動き: EUサミットでの移民問題合意でユーロ回復、円下落;カナダドル回復
金曜日早朝までの長い議論の結果、EUサミットでは参加国が移民問題で合意に達しました。EU圏内の難民の流れを制限し、共通の収容施設をEU圏内に設置して、受け入れを決定する審査を実施することで合意しました。移民問題合意により、メルケル政権存続のリスクは後退しました。
移民問題合意により、独総選挙の可能性がなくなり、政治的不透明感も後退しました。ユーロは対主要通貨で上昇しました。昨日のユーロ/ドルは0.6%上昇し、ユーロ/ポンドは0.4%上昇して3か月ぶり高値を更新しました。ポンドは、EU離脱問題協議を控え、様子見ムードとなるでしょう。本日のEUサミットでは、英国のEU離脱問題が協議される模様です。
EUサミットでの移民問題合意が市場全体のリスク選好の動きを強め、ユーロ/円は主要通貨では最大の上昇幅となり、0.7%上昇しました。円等のリスク逃避先通貨から、豪ドルのリスク通貨に資金が流れました。移民問題に加え、貿易問題のリスクが上昇したなったことも、市場のリスクオンの流れを強めることになりました。ドル/円は0.1%上昇し、4セッション連続の上昇となる模様です。
昨日には、原油高の継続がカナダドルの回復要因となりました。WTI原油先物が3年半ぶり高値を更新し、カナダドルは急騰しました。カナダは主要な原油輸出国です。原油価格に加え、今後数日間は金融政策がカナダドルを動かす主要因となるでしょう。7月11日にはカナダ中央銀行の政策会合が控えており、カナダのオーバーナイトインデックススワップによると利上げの可能性は64%となっています。
本日のGDPと翌週の雇用統計が堅調な結果となり、NAFTA交渉のリスクが浮上しない場合、利上げの可能性は100%付近まで上昇し、カナダドル高が継続するでしょう。
本日これからの市場: 米PCEデフレーター、米個人所得、米個人消費、ユーロ圏CPI発表
GMT0800には、独6月失業率が発表され、前月結果と同様の5.2%となる模様です。独6月失業者数は、前月結果の1.1万人減に対して、0.8万人減となる模様です。
最も注目される指標は、ECBの金融政策とユーロ相場に影響するユーロ圏6月消費者物価指数になるでしょう。消費者物価指数は、前月結果の前年比1.9%増に対して、前年比2.0%への上昇が予想されています。生鮮食品と燃料を除くコアの消費者物価指数は、前月結果と同様の前年比1.3%増となる模様です。消費者物価指数が予想を上回る結果となった場合、ECBが本年度末の量的緩和縮小後の利上げにより積極的になる可能性があります。
GMT0830には、英第1四半期GDP・確報値が発表され、前年比1.2%増と前期比0.1%増が予想されています。
GMT1230には、カナダ4月GDPが発表されます。
GMT1230には、FRBが重視するコアPCEデフレーターが発表されます。コアPCEデフレーターは、前月比では前月結果と同様の0.2%増となる見込みです。前年比では、1.8%増から1.9%増への増加が予想されています。同時刻には、米5月個人所得、及び米5月個人消費支出も発表され、政策金利とインフレ上昇による影響を見極める為に、市場は注視するでしょう。個人消費支出は前月比0.6%増から前月比0.4%増への低下、個人所得は前月比0.3%増から前月比0.4%増への上昇が予想されています。
GMT1345には米6月シカゴPMI、GMT1400には米6月ミシガン大消費者信頼感指数が発表されます。
GMT1700には、ベーカーヒューズ社のリグ稼働数が発表されます。
テクニカル分析: EURUSDは1.1600ドル越えにも関わらず、保ち合い相場
EUサミットでの移民問題合意により、本日前半にユーロ高が進みました。ユーロ/ドルは1.1600ドル台を超え、4時間足の雲の中に入りました。しかしながら、一目均衡表は、赤の転換線が青の基準線を下回って1.1719ドルからの下落基調を示しつつ、保ち合い相場の可能性を示しています。RSIは上昇したものの、現在の所、50の中立線付近で推移し、保ち合い相場の兆しを見せています。
本日のユーロ圏消費者物価指数の結果が予想を上回った場合、ユーロ/ドルは上昇するでしょう。この場合、本日の高値1.1665ドルがレジスタンスポイントになるでしょう。一段と上昇した場合、1.1850ドルから1.1507ドルまでのフィボナッチリトレースメントの下降トレンド50%上の1.1678ドルが視野にはいるでしょう。その上には、フィボナッチリトレースメント61.8%上の1.1718ドルが控えています。
反対に、ユーロ圏消費者物価指数の結果が脆弱な結果となった場合、ユーロ/ドルは下落し、20日平均線上の1.1613ドルがサポートポイントになるでしょう。一段と下落した場合、フィボナッチリトレースメント23.6%上の1.1587ドルが視野に入るでしょう。1.1550ドル付近は過去数週間の底値となっている為、より強いサポートゾーンになるでしょう。