マーケットプレビュー-FRBのタカ派的姿勢にも関わらず米ドル安、ECB政策会合に注目

投稿日: 2018年6月14日19時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:本日の米ドルインデックスは昨日の下げ幅を拡大させ、約0.3%低下しました。利上げが実施され、年内4回の利上げが示唆されたものの、パウエル議長が記者会見でタカ派的シグナルを後退させました。したがって、全体的にドル安の流れとなりました。明日にも米国が中国に対しての追加関税を実施すると報道され、円やスイスフラン等のリスク逃避先通貨が上昇しました。

株式市場: 昨日の米株式市場が下落して引けました。FRBによる比較的タカ派的見解、及び米国の追加関税実施の報道が、主要な要因となりました。ダウ工業株30種とS&P総合500種は、それぞれ0.47%と0.40%下落しました。ナスダック指数は比較的下げ幅が少なく、僅か0.11%の下落でした。本日の米主要株価先物指数は、下落してのオープンを示しています。

アジア株式市場も全面安の展開となりました。日経平均株価とトピックスはそれぞれ0.99%と0.92%下落しました。香港株式市場は、1.17%下落しました。

株安の流れは、欧州市場でも引き継がれる模様です。本日の米主要株価先物指数は、大幅に下落してのオープンを示しています。

コモディティ: 昨日、米エネルギー省が発表した米原油在庫の好調な結果を受けて上昇した原油価格は、本日には若干下落しました。WTI原油先物は0.1%未満低下し、ブレント原油先物は約0.4%低下しました。昨日、サウジアラビアによる増産検討が報道された為、市場の関心は翌週のOPEC会合での原油産出国の動きに向けられるでしょう。

本日のゴールドは、0.1%上昇し、1302ドルを若干上回る水準で推移しています。昨日のFOMC政策会合を受けて、米ドルが下落した為、ゴールドは上昇しました。しかしながら、上昇は一時的にすぎず、ゴールドは再び狭いレンジ幅内での取引となりました。

主要な動き: 米利上げ後のパウエル議長の発言で米ドル安;貿易問題への懸念再浮上

昨日、市場の大方の見方通り、年内二度目の米利上げが実施されました。加えて、年内利上げ回数の見通しが、3回から4回へ上方修正されました。ドットプロットによると、今年3月での年内4回の利上げを予想するFOMCメンバー数が7名だったのに対して、現在は8名になっています。1名増加したことにより、ドットの中央値も押し上げられました。経済見通しにもタカ派的見解が示されました。2018年の失業率は下方修正され、GDP、及びPCEコアデフレーターの見通しは若干上方修正されました。

FOMC政策発表後の米ドルはすぐに上昇したものの、上昇は長く継続しませんでした。パウエル議長が記者会見において、FOMC政策会合でのタカ派的見解を重視しない姿勢を見せたことにより、米ドルが下落し始めました。パウエル議長は、「インフレ達成を宣言するには早すぎる」と発言しました。原油価格上昇により、今後数カ月のインフレは2%を上回る見通しで、FRBは過度に反応しない方針を示しました。更に、翌年1月より、政策会合毎に記者会見を開くことを公表しました。

政策会合での主要ポイントは、米経済は回復を継続し、予想通り回復が進むと、おそらく9月と12月にあと2回の利上げの可能性があることでした。

その他のニュースでは、豪5月雇用統計が予想を若干下回ったことを受け、豪ドル/ドルが約0.35%下落しました。本日に発表された中国経済指標の脆弱な結果も、豪ドル安とアジア株安の要因となったようです。

本日これからの市場: ECB政策会合注視;英及び米小売売上高発表

GMT0830には、英5月小売売上高が発表されます。小売売上高もコアの売上高も、前月結果に対して、前年比での上昇が予想されていますが、前月比では下落が予想されています。英オーバーナイトインデックススワップによると、現在の所、8月利上げの可能性は41%となっています。小売売上高が予想を上回る結果となった場合、利上げ観測とポンドが上昇するでしょう。一方、予想を下回る結果となった場合、利上げ観測後退とポンド安になるでしょう。

GMT1145には、ECBの政策金利が発表されます。据え置きが予想されており、市場の関心は、テーパリング開始時期が言及されるかに向けられるでしょう。例えば、年内の量的緩和終了が公表された場合、ユーロ買い圧力が強まるでしょう。GMT1230には、ドラギ総裁の記者会見が予定されています。

GMT1230には、米5月小売売上高が発表され、前月結果の2倍の増加となる前月比0.4%増が予想されています。自動車を除くコアでの小売売上高は、前月結果の前月比0.3%増から前月比0.5%増への上昇が見込まれています。同時刻には、米週次新規失業保険申請件数、米5月輸出価格、及び米5月輸入価格も発表されます。

GMT1400には、米4月企業在庫が発表されます。

貿易問題に関しては、トランプ政権が中国製品への500億ドル規模の関税を実施すべきかを協議しています。実施された場合、貿易摩擦のリスクを背景に、市場はリスクオフの流れとなり、リスク逃避先資産の需要が増加するでしょう。

米朝首脳会談、そして日本と韓国の外相との会談後、ポンペオ米国務長官は、二国間問題、及び国際的問題について協議する為に、北京へ向かいました。

テクニカル分析: EURGBPは短期的緩やかな上昇相場の兆し

EURGBP は、先週に記録した5週ぶり高値0.8837ポンドを約20ピップス下回って推移しています。上昇を継続するRSIは、強気相場を示していますが、現在の所、上昇は緩やかとなっています。

ECBがタカ派的見解を示した場合、EURGBP は押し上げられるでしょう。この場合のレジスタンスゾーンは、3月7日から4月17日までフィボナッチリトレースメント下降トレンドの61.8%上にある0.8834ポンドになるでしょう。この付近には、先週の高値0.8837ポンド、及び5月上旬に記録した3か月ぶり高値0.8841ポンドも含まれます。一段と上昇した場合、フィボナッチリトレースメント76.4%上の0.8885ポンドが視野に入るでしょう。

反対に、ECBがハト派的見解を示した場合、EURGBPは下落するでしょう。この場合、フィボナッチリトレースメント50%上の0.8793ポンド付近がサポートゾーンになり、0.88ポンド、及び100日平均線上の0.8788ポンドも含まれます。一段と下落した場合、フィボナッチリトレースメント38.2%上の0.8752ポンドが次のサポートゾーンになるでしょう。子のサポートゾーンには、50日MAの0.8756ポンドも含まれます。

本日発表される英小売売上高もEURGBPを動かす要因となるでしょう。