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外国為替市場:ユーロ回復の継続により、米ドルインデックスはUSセッションでの下げ幅を一段と拡大させ、0.2%低下しました。複数のECBメンバーがユーロ圏経済の見通しに自信を見せ、翌週の政策会合での量的緩和縮小着手の公表の可能性を浮上させたことが、ユーロ上昇に繋がりました。
株式市場: 貿易問題のリスクは材料視されず、昨日の米株式市場は上昇して引けました。ダウ工業株30種は1.4%、S&P総合500種は0.86%、ナスダック指数は0.67%上昇しました。ナスダックは3日連続で終値ベースで過去最高値を更新しました。本日の米主要株価先物指数は、上昇幅は限定的であるものの、全て上昇して推移しています。
米株式市場の好調な流れは、アジア株式市場でも引き継がれました。日経平均株価とトピックスはそれぞれ0.87%と0.64%上昇しました。香港株式市場は0.65%上昇しました。
欧州市場に関しては、全主要株価先物指数が大幅に上昇してのオープンを示しています。
コモディティ: 昨日の原油価格は、米エネルギー省が発表した米原油在庫の予想外の増加を受けて、値を下げました。本日には昨日の下げ幅の一部を回復しました。WTI原油先物0.5%、ブレント原油先物は0.65%値上がりしました。6月22日に開催されるOPEC会合では、OPEC加盟国と非加盟国による増産が公表されるかに注目が集まります。
ゴールド価格は約0.1%上昇し、現在の所、1298ドル付近で推移しています。ゴールド価格は、ここ数週間の間、1290ドルから1307ドルの狭いレンジ幅内での取引が続いています。米ドル建てで取引されるゴールドは、米ドル安によって上昇する傾向があるものの、最近のゴールドは米ドルの値動きによる影響を殆ど受けていません。
主要な動き: ECBによるテーパリング示唆で、ユーロは一段高
複数のECBメンバーが、早くも翌週の政策会合でのテーパリング公表の可能性を示唆したことにより、ユーロ回復が継続しています。
テーパリング着手に言及したメンバーは、タカ派的と見なされるドイツ連邦銀行のバイトマン総裁やオランダ中央銀行のノット総裁でしたが、中立派と見なされるプラート専務理事も含まれました。プラート専務理事とバイトマン総裁は、インフレがECBの目標に向けて上昇することに自信を見せました。ノット総裁は、ECBが早期に量的緩和を縮小すべきであると発言しました。
ユーロ/ドルは上昇を継続し、欧州セッション前半には1.1800ドル越えを達成しました。翌週のECB政策会合でのテーパリング観測により、ユーロ買い圧力は引き続き強まるでしょう。しかしながら、実際に量的緩和縮小への着手が翌週の政策会合で公表されるかは不透明です。
米ドルインデックスでのユーロの割合が50%を超えていることから、ユーロ回復により、米ドルインデックスは下落を継続しています。本日のドル/円は0.1%下落し、現在の所、心理的節目となる110円を数ピップ上回る水準で推移しています。ユーロ圏PMI指数は、経済減速を浮き彫りにし、第1四半期での「一時的」減速が第2四半期にも引き継がれることを示しています。5月のコアでのインフレは、上昇の兆しを見せました。そのため、量的緩和縮小への着手に十分であるとECBが判断するのか、慎重な姿勢により、量的緩和縮小の公表は7月に先送りされるのかが注目されます。
本日これからの市場: ユーロ圏GDP、米週次新規失業保険申請発表;トルコ政策金利発表
GMT0730には、英5月ハリファックス住宅価格指数が発表されます。予想外に低調な結果となった前月比3.1%減の前月結果に対して、前月比1.0%増が予想されています。
GMT0900には、ユーロ圏第1四半期GDP・確報値が発表されます。速報値と同じ前期比0.4%増と前年比2.5%増が予想され、第4四半期GDPの前期比7.7%増と前年比2.8%増からの低下する見込みです。
米国からは、GMT1230には米週次新規失業保険申請件数が発表され、GMT1900には米4月消費者信用残高が発表されます。
貿易問題の進展は引き続き注視されるでしょう。明日よりカナダで開催されるG7サミットでは、米国と各国首脳との意見が対立する展開も予想されています。
新興国市場では、過去数週間に急落したトルコリラに注目が集まっています。GMT1100にはトルコ中央銀行の政策会合が終了する模様です。今週前半に発表された消費者物価指数の上昇率が予想を上回った為、利上げ観測が浮上しています。リラ急落により、トルコ中央銀行は5月23日に3%の利上げに踏み切っています。
GMT1515には、カナダ中央銀行の総裁と副総裁による記者会見が予定されています。GMT1400には、イングランド銀行のラムズデン副総裁の発言が控えています。
テクニカル分析: ゴールドは短期的保ち合い相場の兆し
過去数日間のゴールドは、概ねレンジ幅内での取引を継続し知恵ます。RSIも50の中立線付近で横ばい推移しており、短期的保ち合い相場を示しています。
貿易問題の不透明感が上昇した場合、リスク逃避先資産と見なされるゴールドに資金が流れる可能性があります。直近のレジスタンスゾーンは、50日平均線上の1297.42ドル付近になるでしょう。1297.42ドルを上抜けた場合、昨日に記録した1週間ぶり高値1301.68ドルが視野に入るでしょう。
反対に、貿易問題のリスクが後退した場合、市場のリスク選好の動きが強まり、ゴールドからリスク資産に資金が流れるでしょう。100日MA上の1295.42ドルがサポートゾーンになるでしょう。一段と下落した場合、5月下旬に記録した1292.71ドルと6月上旬に記録した1289.25ドルの底値を試す展開になるでしょう。
米ドルの値動きもゴールドに影響する可能性があります。ゴールドは米ドル建てで取引されている為、米ドル高の場合にはゴールドの魅力が低下し、米ドル安の場合にはゴールドの魅力が上昇します。