マーケットプレビュー-急落後のユーロは若干回復、カナダ政策金利発表に注目

投稿日: 2018年5月30日18時12分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:昨日に昨年11月上旬以来の高水準まで上昇した米ドルインデックスは、本日には約0.1%低下しました。昨日に急落したユーロは、本日には若干回復し、対円で0.3%、対米ドルで0.25%上昇しました。

株式市場: イタリアの政治情勢による金融市場への影響、及び米中貿易摩擦がリスク回避の動きを強め、昨日の米株式市場は急落しました。ダウ工業株30種は1.58%、S&P総合500種は1.16%、ナスダック指数は0.50%下落しました。本日、米主要株価先物指数が上昇してのオープンを示していることから、市場のリスクムードが若干改善した模様です。

本日のアジア株式市場は全面安となりました。日経平均株価とトピックスはそれぞれ1.52%と1.46%下落しました。香港株式市場は1.55%下落しました。

欧州市場に関しては、英FTSE 100 と仏CAC 40を除く殆どの主要株価先物指数は、上昇して推移しています。

コモディティ: 本日の原油価格は若干上昇しました。WTI原油先物は0.1%、ブレント原油先物は0.05%値上がりし、最近の急落から若干安定しつつあるようです。ベネズエラとイランの減産をカバーするためのサウジアラビアとロシアによる増産観測が、原油価格の上値を重くしています。

本日のゴールド価格は若干下落し、現在の所、1296ドルを若干上回って推移しています。昨日のゴールドは、「デッド・キャット・バウンス」の動きを見せました。一時、200日平均線を試す展開まで上昇したものの、その後反落しました。

主要な動き: ユーロは急落後に若干回復、貿易摩擦問題再浮上

昨日、イタリアの政治的不透明感により、ユーロは対米ドル、円、及びスイスフランで数カ月ぶり安値まで急落しました。今夏の再選挙実施の可能性により、ユーロ加盟をめぐる国民投票の可能性も浮上していることから、引き続き市場は警戒しています。

しかしながら、昨日、「五つ星運動」のマイオ党首は、ユーロ脱退を求めていないと発言しました。マイオ党首の発言により、ユーロは下げ止まり、若干回復さえも見せたことから、イタリアのユーロ離脱懸念を緩和させた模様です。債券市場に関しては、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、そして当然ながらイタリアからドイツ、フランス、英国、及び米国に資金が移動しています。資金流出市場の利回りは上昇し、資金流入市場の利回りは低下しています。

市場は政治情勢が金融政策に影響する見方を示しています。数カ月前には2019年第2四半期と見なされていたECBによる次期利上げは、2019年第4四半期に下方修正されました。更に、米7月利上げの可能性は前月の約100%から74%に低下しました。ECBの利上げ観測後退は理にかなっているものの、米利上げ観測後退は疑問視されています。

貿易問題に関しては、中国政府が知的財産の問題に迅速に対応しない場合、米政府は中国からの輸入品500億ドルに最大25%の関税を課す用意があることを示しました。通商協議を控えて米国が中国への圧力を強めたことにより、市場がイタリアの政治情勢に気を取られていた為、見過ごされていた米中貿易問題が再度注目されることになりました。

本日これからの市場: カナダ政策金利、独消費者物価指数、米ADP全国雇用者数、及び米GDP発表

GMT0900には、ユーロ圏5月消費者信頼感、及びユーロ圏5月経済信頼感が発表される予定で、共に前月結果からの鈍化が予想されています。

GMT1200には、独5月消費者物価指数が発表される予定で、前月結果からの上昇が予想されています。その前のGMT0800には、独5月失業率も発表されます。明日にユーロ圏の消費者物価指数と失業率発表を控え、本日の独指標が好調な結果となった場合、明日のユーロ圏指標結果も期待され、ユーロの回復要因になるでしょう。

しかしながら、ユーロの値動きに引き続き影響する要因はイタリアの政治情勢となり、イタリア程はないものの、スペインの政治情勢も影響するでしょう。

GMT1215には、米5月ADP全国雇用者数が発表され、前月結果の20.4万人増から19万人増への鈍化が予想されています。ADP全国雇用者数は非農業部門雇用者数の先行指標と見なされるものの、最近の両指標には乖離が見られるようです。

GMT1230には、米第1四半期GDP・確報値が発表され、前年比2.3%増が予想されています。同時刻には、第1四半期GDPデフレーター、及び第1四半期コアPCEデフレーターも発表されます。

GMT1400に予定されているカナダ政策金利、及び声明文発表は、カナダドルの値動きに大きく影響するでしょう。政策金利の据え置きが予想されているものの、声明文内容がタカ派的となった場合にはカナダドル高に、ハト派的となった場合にはカナダドル安に繋がるでしょう。

GMT2030に米石油協会が発表する米原油在庫も注目されるでしょう。

テクニカル分析USDCAD2か月ぶり高値付近;強気相場後退

昨日のUSDCADは2か月ぶり高値1.3046 カナダドルまで上昇し、現在の所、1.3046 カナダドルを約25ピップ下回る水準で推移しています。転換線が基準線を上回って推移していることから、強気相場が示されています。RSIも上昇していることから短期的上昇相場の兆しを見せています。しなしながら、上昇に鈍化が見られることから、上昇勢い失速の可能性もあります。

本日、カナダ中央銀行がタカ派的見解を示した場合、カナダドル高が進み、USDCADは下落するでしょう。転換線上の1.3007カナダドル付近がサポートゾーンになるでしょう。この付近には、1.30ドルと最近の高値1.2997ドルも含まれます。一段と下落した場合、基準線上の1.2941カナダドルがサポートとして機能するでしょう。(1.2941カナダドル付近は過去数週間に記録した高値が多数控えています。)

反対に、ハト派的見解が示された場合、USDCADは上昇するでしょう。昨日の高値1.3046カナダドル付近が直近のレジスタンスゾーンになるでしょう。1.3046カナダドルを上抜けた場合、1.31カナダドルが視野に入るでしょう。

米経済指標結果もUSDCADの値動きに影響するでしょう。