マーケットプレビュー-英GDPと米耐久財受注発表、地政学リスク再度上昇

投稿日: 2018年5月25日18時53分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:パウエルFRB議長の講演を控え、本日の米ドルインデックスは約0.2%上昇しました。昨日、米長期国債利回り低下を受けて、米ドルインデックスも若干下落しました。

株式市場: トランプ大統領による米朝首脳会談の中止決定が、市場のリスクオフの流れを強め、昨日の米株式市場の終値は下落しました。ダウ工業株30種は0.30%、ナスダック指数は0.21%、S&P総合500種は0.20%下落しました。会談中止決定後、北朝鮮側が「いつでも」対話の用意があることを明らかにし、市場の流れが反転した模様です。本日、米主要株価先物指数が上昇してのオープンを示しています。

アジア株式市場では、日経平均株価が0.06%上昇したものの、トピックスは0.22%下落しました。香港株式市場は0.47%下落しました。

欧州市場に関しては、主要株価先物指数が堅調推移し、大きく上昇してのスタートを示しています。

コモディティ: 主要な原油産出国が生産増加を示唆したことにより、昨日の原油価格は値下がりし、本日も下落基調が継続しました。昨日、ロシアのエネルギー相が、次回のOPEC会合後にはOPEC加盟国と非加盟国による協調減産が緩やかに解消する可能性を示唆しました。これにより、WTI原油先物は約0.35%、ブレント原油先物は0.45%値を下げました。

昨日に米朝首脳会談中止を受けて上昇したゴールド価格は、本日には約0.2%下落しました。

主要な動き: 地政学不透明感上で、再度リスクオフに

昨日、トランプ大統領が米朝首脳会談中止を表明したことにより、再度リスク回避の動きが強まりました。これにより、円、スイスフラン、ゴールド等のリスク逃避先資産の需要が増加しました。投資家が安全を求めて債券市場に戻って来たため、米10年債利回りは低下しました。一方、米株式市場は下落して引けました。

しかしながら、本日の市場ではリスク回避の動きが緩和した模様です。リスク逃避先資産が下落し、米主要株価先物指数が上昇してのオープンを示し、米国債利回りが上昇しています。昨日、北朝鮮が「いつでも向かい合って問題を解決する要因がある」と公表したことにより、市場の流れが変わりました。

数日前までは北朝鮮が米国に「核には核で対応」することを示唆し、米朝首脳会談中止の要因にもなったことを考慮すると、今回の北朝鮮の姿勢は非常に急な変化です。北朝鮮による態度変更の背景が不透明な為、北朝鮮による対話への意欲がリスク緩和に繋がるかを市場は見極めようとするでしょう。

昨日の発表されたECB議事録では、目新しいニュースはありませんでした。議事録内容はややハト派寄りでした。ECBは、需要低下リスクは排除できておらず、経済見通しは一層不透明となった見解を示しました。ユーロの反応は限定的で、対円とポンドの終値は下落しました。しかしがなら、米ドルでは上昇しました。

本日これからの市場: GDP、米耐久性受注、及び米ミシガン大消費者信頼感発表;地政学リスク進展に注目

GMT0830には、英第1四半期GDP・改定値が発表されます。昨年第4四半期の前期比0.4%増と前年比1.4%増加から鈍化し、前期比0.1%増と前年比1.2%増が予想されています。同時刻には、英第1四半期企業投資も発表されます。

GMT1230には、米4月耐久財受注が発表され、2か月連続での減少が見込まれています。前回結果の前月比2.6%増から減少した前月比1.4%減が予想されています。輸送用機器を除いたコアでの耐久財受注も注目されるでしょう。

米国からは、米5月ミシガン大消費者信頼感指数も発表され、前月結果と同じ98.8が予想されています。

本日も引き続き地政学リスクの進展に市場の注目が集まります。昨日、米朝首脳会談中止が明らかになった後、北朝鮮側が交渉に意欲的な姿勢を見せ、懸念んを若干緩和させました。ゴールドを含むリスク逃避先資産の動きに影響する為、今後の進展は注視されるでしょう。市場も注目するもう一つの要因は、イタリアの政治情勢になります。「五つ星運動」と「同盟」の反エスタブリッシュメント政党が選出する閣僚に注目が集まります。

GMT1700には、米ベーカーヒューズ社のリグ稼働数が発表されます。

本日には、スウェーデン中央銀行の350周年コンファレンスに、パウエルFRB議長、イングランド銀行のカーニー総裁、クーレECB専務理事、そして次期ECB総裁の可能性があるドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が出席予定です。特に、GMT1320に予定されている「金融の安定性、及び中央銀行の透明性」に関するディスカッションにはパウエルFRB議長が参加予定で、注目されるでしょう。

テクニカル分析: ゴールドは10日ぶち高値付近;上昇勢い失速の可能性

昨日、ゴールドは10日ぶり高値1306.50ドルまで上昇し、現在もこちらの高値付近で推移しています。転換線が基準線を上回っていることから、短期的強気相場のシグナルが出ています。しかしがなら、基準線が平坦化しつつあることから、上昇勢い失速の可能性もあります。

地政学不透明感上昇は、リスク逃避先資産への需要を増加させます。直近のレジスタンスは、100日平均線上の1304.05ドル付近になるでしょう。この付近には、最近の安値1304.18ドル、昨日の10日ぶり高値1306.50ドル、及び一目均衡表の雲の上限1305.36ドルが控えています。一段と上昇した場合、数週間前に何度か記録した1312ドル付近が視野に入るでしょう。

反対に、地政学リスクが後退した場合、資産がゴールドからリスク資産に流れるでしょう。転換線上の1299.58ドル付近がサポートとして機能するでしょう。この付近には、1300ドル、及び5月上旬の安値1301.64ドルも控えています。一段と下落した場合、50日MA上の1293.53ドルが視野に入るでしょう。

ゴールドは米ドル建てで取引される為、米ドルの方向性もゴールドの値動きに影響するでしょう。米ドル安はゴールド上昇に繋がり、米ドル高はゴールド下落に繋がる可能性があります。