マーケットプレビュー-米国による中国への和平提案、伊政治情勢に注目

投稿日: 2018年5月14日18時53分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:本日の米ドルインデックスは先週金曜日の下げ幅を拡大させ、0.15%低下しました。先週の米消費者物価指数の低調な結果は、米ドル上昇の勢いを失速させた模様です。米10年債利回りは、広くうたわれた3.0%越えを維持することができませんでした。

株式市場: 先週金曜日の米株式市場は、概ね上昇して引けました。ダウ工業株30種は0.37%、S&P総合500種0.17%は上昇しました。しかしながら、ハイテク関連株の多いナスダック指数は、セキュリティソフトウェア会社のシマンテック株価が33.1%下落したことにより、0.03%下落して引けました。シマンテックは、内部調査により年次報告書の提出遅延、及び決算内容変更の可能性を発表しました。週末の米中貿易交渉におけポジティブなニュースにより、本日の米主要株価先物指数は、上昇してのオープンを示しています。

アジア株式市場も堅調な伸びとなり、日経平均株価とトピックスはそれぞれ0.47%と0.61%上昇しました。香港株式市場は1.12%上昇しました。

コモディティ: 先週金曜日の下落に続き、本日も原油価格は下落しました。WTI原油先物とブレント原油先物は0.3%と0.4%下落しました。アラブ首長国連邦のエネルギー相が、イランへの制裁再開による供給減少はOPEC加盟国からの供給で十分にカバーされると発言したことが、原油価格の下落に繋がった可能性があります。原油価格下落のもう一つの要因は、ベーカーヒューズのリグ稼働数増加があります。

ゴールド価格に関しては、ゴールド価格が0.2%上昇し、1オンス1320ドル付近を維持しています。最近のゴールドは、100日平均線と200日平均線のレンジ幅内での取引となっています。どちらかの平均線を突き抜けた場合、相場の方向性が明確になるでしょう。

主要な動き: 米ドル安継続、トランプ政権による和平提案でリスク選好の動き

本日の米ドルは、先週金曜日の下げ幅を拡大させ、下落基調となっています。先週発表された米消費者物価指数の提供な結果が、積極的な米利上げの可能性を後退させ、米ドル上昇勢いは鈍化した模様です。

ユーロ/ドルは0.15%上昇し、1.1950ドル越えを達成しました。イタリアでは、五つ星と同盟の反エスタブリッシュメント政党による連立政権が発足する可能性が浮上しているものの、現在の所、ユーロの値動きには大きく影響していないようです。

ポンド/ドルは、先週のイングランド銀行による下落をほぼ回復させ、約0.1%上昇しました。しかしながら、ユーロ/ポンドには大きな動きはなかったことから、ポンド/ドル上昇の要因は、ポンドの回復よりも、米ドル安による可能性が大きいです。

先週のカナダ雇用統計の脆弱な結果を受けて、3週間ぶり安値1.2730カナダドルまで下落したドル/カナダドルは、先週金曜日には回復しました。失業率は市場の予想通りの結果となったものの、就業者数は下落しました。低調な雇用統計結果にも関わらず、5月利上げの可能性は40%、7月利上げの可能性は74%が維持されています。

本日これからの市場: 伊政治情勢注目、地政学リスク、及び貿易問題引き続き市場の関心を集める

本日には主要な経済指標発表が控えていない為、市場の関心はイタリアの連立政権協議進展等に向けられるでしょう。

ユーロへの値動きに影響することから、イタリアの連立政権協議には注目が集まるでしょう。先週末、第1党ポピュラリズム政党「五つ星運動」と、極右「同盟」による連立協議が前進しました。

その他に市場が注目するのは、米国の核合意離脱と貿易問題進展後の地政学リスクになるでしょう。貿易問題に関しては、ワシントンでの第2回目の米中交渉に、中国政府は副首相の参加を予定しています。

米企業の決算報告も終盤に入りつつあり、今週の木曜日には小売世界最大手のウォールマートの決算が発表されます。

本日には、イングランド銀行のカーニー総裁、ECBのプラート専務理事、及び本年にFOMCで投票権を持たないセントルイス連銀のブラード総裁の講演が控えています。しかしながら、講演トピックは全て市場の値動きには影響しないトピックとなっています。

テクニカル分析: ゴールドは短期的強気相場、しかしながら上昇勢い失速の可能性

ゴールドは、先週金曜日に記録した約3週ぶり高値1325.82ドルを若干下回る水準で取引されています。転換線と基準線は上昇し、短期的強気相場を示しています。しかしながら、基準線が平坦化しつつあることから、上昇勢い失速の可能性があります。

政治的、地政学的、及び貿易問題の不透明感上昇は、リスク逃避先資産への需要を増加させるでしょう。転換線上の1321.53ドル付近がレジスタンスゾーンとして機能し、一段と上昇した場合、先週の高値1325.82ドルが視野に入るでしょう。

反対に、不透明感が後退し、資金がリスク逃避先資産からリスク資産に移動した場合、100日平均線上の1318.77ドル付近がサポートゾーンになるでしょう。一段と下落した場合、基準線の1315.00ドル付近を試す展開となるでしょう。

米ドルの値動きもゴールドに影響するでしょう。米ドル高はゴールド下落に、米ドル安はゴールド上昇に繋がります。