マーケットプレビュー-NZドル下落、英政策金利発表、及び米消費者物価指数に注目

投稿日: 2018年5月10日18時05分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場: 本日に米消費者物価指数の発表を控え、米ドルインデックスには動きが殆ど見られませんでした。本日、ニュージーランド準備銀行を政策金の据え置きを発表し、利下げを示唆するよりハト派的姿勢を見せたことにより、NZドル/ドルは約1%下落しました。

株式市場: 原油高を背景にエネルギー関連株が値上がりし、昨日の米株式市場の終値は上昇しました。ナスダック指数は1.0%、S&P総合500種は0.97%、ダウ工業株30種は0.75%上昇しました。本日の米主要株価先物指数は、上昇してのオープンを示しています。本日の米株式市場の値動きに影響する主な要因は、米消費者物価指数になるでしょう。

アジア株式市場は概ね堅調でした。日経平均株価とトピックスはそれぞれ0.39%と0.27%上昇しました。香港株式市場は、0.96%上昇しました。

欧州市場に関しては、英FTSE 100を除く主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しています。

コモディティ: 昨日の原油価格は急騰し、本日も上昇幅を拡大させています。WTI原油先物は0.8%、ブレント原油先物は0.7%は上昇し、共に数年ぶり最高値を更新しました。米国の核合意離脱、米エネルギー省の米原油在庫の予想外の減少、及びイランによるイスラエルへの攻撃が原油価格を大きく押し上げました。

ゴールド価格は昨日の下げ幅の一部を回復しましたが、上昇幅は0.1%未満でした。今月のゴールド価格は、中東地域の緊張が高まる中、1301ドルと1318ドルの狭いレンジ幅内で取引されています。

主要な動き: NZ中銀のハト派的姿勢でNZドル下落、地政学リスク上昇で原油高

本日、ニュージーランドの政策金利は据え置かれたものの、今後の利下げを示唆するよりハト派的姿勢が示されたことにより、NZドル/ドルは約1%下落しました。声明文において、オア総裁は、「次の動きの方向は上下に均衡を保っており、時間と今後の成り行き次第だろう。」と述べました。利下げの可能性は高くないものの、利下げの余地が残されたことは、オア総裁が利上げに対して前総裁よりもより慎重であることを示し、利上げ観測を後退させました。

米国によるイランへ経済制裁決定、及び米原油在庫の大幅な減少を受けて、昨日の原油相場は急騰しました。これにより、カナダドル高が進み、カナダドルは対米ドルで1週間ぶり高値まで値を切り上げました。

地政学不透明感に関しては、昨日のイランによるイスラエルへの攻撃報道に対して、リスク逃避先資産のゴールドと円は殆ど反応しませんでした。イスラエル側は、シリアのイラン軍からの攻撃を受けたことにより、シリア国内のイラン軍の軍事拠点を空爆したことを公表しました。米国による核合意離脱発表のわずか数時間後には、イスラエルとイランの緊張が一段と高まりました。原油供給にも大きな影響を与えることから、中東情勢は引き続き注視されるでしょう。

本日これからの市場: 英政策金利、及び米消費者物価指数発表、中東情勢進展に注目

本日の外国為替市場で最も注目されるのは、英政策金利発表、及び米4月消費者物価指数になるでしょう。

GMT1100には、英政策金利が発表されます。同時刻には、議事録、及びイングランド銀行のインフレレポートも発表されます。今回の政策会合では、政策金利の据え置きが広く予想されています。世論調査では、7対2での据え置き決定が予想されています。より多数の英金融政策委員会メンバーが利上げに賛成し、今後の政策会合での利上げ観測を上昇させるタカ派的姿勢が示された場合、ポンドを押し上げるでしょう。反対に、ハト派的見解が示された場合には、ポンド安に繋がります。

英政策金利発表前には、GMT0830に発表される英3月貿易収支、英3月鉱工業生産、及び英3月製造業生産が注目されるでしょう。英3月製造業生産は、前月結果と同様の前月比0.2%減が予想されています。前年比は若干の上昇が予想され、先月結果の2.5%増に対して、2.9%増が予想されています。

その後の市場の関心は、GMT1230に発表される米4月消費者物価指数に向けられるでしょう。消費者物価指数とコアの消費者物価指数は、過去1年半で最高水準の増加となる前年比2.5%増と2.2%増がそれぞれ予想されています。前月比では、一時的要因によって低下した前月結果からの回復が予想されています。

消費者物価指数は、PCEコアデフレーターほどはFRBに重視されませんが、予想外に上昇した場合には、より速いペースでの利上げへの期待を上昇させるでしょう。FF金利先物では、年内あと2回の利上げが完全に織り込み済みとなっています。年内あと3回の利上げの可能性は20%以上となっています。

GMT1230には、米週次新規失業保険申請件数も発表されます。

本日に決算を発表する米企業には、エヌビィデイアも含まれます。

米国の核合意離脱表明後、中東の地政学リスクにも注目が集まっています。昨日には、イスラエルによるシリア空爆が報道されました。

テクニカル分析: GBPUSDは短期的弱気相場、RSIは買われ過ぎ

GBPUSDは4月中旬に2016年6月以来の最高値1.4376ドルまで急騰後、大幅に下落しました。昨日のGBPUSDは4か月ぶり安値1.3484ドルまで値を切り下げました。下落した転換線と基準線は、短期的弱気相場を示しています。しかしながら、基準線が平坦化しつつあることから、下落圧力緩和の兆しが見られます。弱気相場で横ばい推移しているRSIも同様の見解を示しています。RSIが買われ過ぎ水準に達していることにも注目に値するでしょう。

イングランド銀行がタカ派的姿勢を見せた場合、GBPUSDは上昇し、転換線上の1.3638ドル付近がレジスタンスゾーンとなるでしょう。一段と上昇した場合、1.37ドルが視野に入るでしょう。

反対に、イングランド銀行によるハト派的姿勢は、GBPUSDを押し下げるでしょう。昨日の4か月ぶり安値1.3484ドル付近がサポートゾーンになるでしょう。一段と下落した場合、1.34ドルが視野に入るでしょう。

本日発表される米消費者物価指数もGBPUSDを動かす要因となるでしょう。