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外国為替市場:昨日の米ドルインデックスは、米長期国債利回りの回復と、JOLTS求人の強い結果により、大きく上昇しました。昨日の上昇幅を拡大させた米ドルインデックスは、本日に0.2%上昇し、5か月半ぶり高水準を更新しました。
株式市場: 米政権により核合意離脱決定の発表後、昨日の米株式市場は大きな動きがないまま引けました。ナスダック指数とダウ工業株30種はそれぞれ0.02%と0.01%上昇しました。一方、S&P総合500種は、エネルギー関連株と防衛関連株の上昇が、公共事業関連株の下落と相殺され、0.03%の下落となりました。本日の米主要株価先物指数は、中立ゾーン付近で推移しています。
アジア株式市場に関しては、日経平均株価とトピックスがそれぞれ0.44%と0.39%下落しました。香港株式市場は0.18%上昇しました。
欧州市場に関しては、フランスのCAC40を除く主要株価先物指数が上昇して推移していることから、上昇してのオープンが予想されます。
コモディティ: 昨日の原油価格は、イランへの制裁再開観測により、急騰しました。昨日に荒い値動きとなったWTI原油先物とブレント原油先物はそれぞれ2.7%と2.8%上昇し、共に2014年以来の最高値を更新しました。
ゴールド価格は、中東地域での地政学不透明感の上昇にも関わらず、下落しました。米ドルの急速な回復がゴールド価格の上値を重くし、ゴールド価格は0.6%下落し、現在の所、1オンス1306ドル付近で推移しています。米ドル高が継続する場合、ゴールドは2018年の最安値1301ドル付近を試す展開となるでしょう。
主要な動き: 米ドル高、米国の核合意離脱公表後、原油価格上昇
本日の金融市場で最も注目されるのは、米ドル高と原油価格の荒い値動きになるでしょう。昨日の米ドルインデックスは、トランプ大統領による核合意判断発表待ちの中、昨年12月以来の高水準まで上昇しました。ユーロ/ドルとポンド/ドルは下落を継続し、それぞれ1.1850ドルと1.3500ドルを一時割り込みました。
原油相場の動きは、ローラーコースターの動きと表現することが最適のようです。トランプ大統領による発表前、WTI原油先物は約2.5ドル値下がりしました。しかしながら、トランプ大統領が核合意離脱とイランへの制裁再開について表明した後、WTI原油先物は急速に回復しました。
トランプ大統領は、米国はイランの核兵器保有を阻止することに努め、目的を果たす為に同盟国と協調すると発言しました。重要なことは、鉄鋼とアルミへの関税決定時と同様に、トランプ大統領が新たな合意交渉への余地を残したことです。
原油価格は、トランプ大統領がイランへの制裁再開見込みに言及したことと、米石油協会の原油在庫の減少により、大きく回復しました。総じて、現時点では、米国の決定による原油市場への影響は不透明です。米国はイランへの制裁を再開しつつ、新たな合意を模索しようとしている一方で、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、及び中国等の他の核合意加盟国は米国と同様の姿勢を見解を持っていないことです。他の核合意加盟国とイランが核合意維持を決定した場合、米国がイランから原油を輸入していないことから、米国の核合意離脱による影響は小さくなるでしょう。
本日これからの市場: 米生産者物価指数発表;地政学不透明感に注目
GMT1230には、米4月生産者物価指数が発表され、若干の鈍化が予想されています。明日に発表される米4月消費者物価指数が、米ドルの値動きにより影響するでしょう。
GMT1230には、カナダ3月建設許可件数も発表されます。
オイルトレーダーは、米エネルギー省が発表する米原油在庫に注目するでしょう。先週に大幅な在庫増加を記録後、今回の米原油在庫では70万バレルの減少が予想されています。市場は、米政権による核合意離脱決定による影響を消化しつつあります。核合意離脱による中東地域への影響、及び核合意に参加する欧州の反応が、本日及び今後数日間の原油価格の値動きに影響するでしょう。イランはOPEC加盟国の中で、3番目の原油産出高を誇ります。
株式市場に影響する主要因は、核合意離脱による地政学リスクになりますが、米企業の四半期決算報告も引き続き影響する要因となるでしょう。
GMT1715には、本年度のFOMCで投票権を持つアトランタ連銀のボスティック総裁が、経済見通しと金融政策について講演を行う予定です。
イタリアの政治情勢がユーロの値動きに影響し、ユーロの上値が重くなっています。イタリアでは、連立交渉が決裂し、再選挙の可能性が浮上しています。更に、イタリアではポピュリスト政党の支持が拡大しつつあります。その他の政治ニュースでは、日中韓首脳会談にも注目が集まるでしょう。
テクニカル分析: WTI原油先物は短期的強気相場;3年半ぶり高値を試す展開
過去6日連続で上昇中のWTI 原油先物は、現在の所、月曜日に記録した3年半ぶり高値70.80ドルを試す展開となっています。
転換線と基準線は上昇し、短期的強気相場を示しています。上昇中のRSIは強気相場を示しているものの、買われ過ぎの70に近づきつつあります。
イランへの制裁再開により原油供給に影響が出る見通しとなった場合、原油価格は一段と上昇するでしょう。これにより、直近のレジスタンスゾーンは、月曜日に記録した3年半ぶり高値70.80ドル付近になるでしょう。この付近には、71ドルも含まれます、一段と上昇した場合、72ドルが次のレジスタンスゾーンとなるでしょう。
反対に、原油供給に影響がない、或いは大きな影響がないと見なされた場合、原油価格は下落するでしょう。この場合、サポートゾーンは心理的節目となる70ドル付近になるでしょう。その下には、転換線上の68.81ドル(69ドル台も含む)が次のサポートゾーンとして控えています。一段と下落した場合には、基準線上の66.30ドルが視野に入るでしょう。
本日後半に米エネルギー省が発表する米原油在庫も、原油相場の値動きに影響するでしょう。