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外国為替市場: 本日の米ドルインデックスは0.1%上昇し、先週金曜日の米雇用統計発表後の上昇幅を一段と拡大させました。失業率は17年ぶり低水準まで改善し、堅調な米労働市場が今後数カ月内の賃金上昇に繋がる観測が高まりました。
株式市場: 先週金曜日の米株式市場は、米雇用統計発表後に前半の下落を回復し、上昇して引けました。ナスダック指数は1.71%、ダウ工業株30種は1.39%、S&P総合500種は1.29%上昇しました。ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイによるアップル株買い増しニュースにより、アップルの株価は3.92%上昇し、終値は最高値を更新しました。本日の米主要株価先物指数は全て上昇して推移し、上昇してのオープンを示しています。
アジア株式市場では、日経平均株価は0.25%下落したものの、トピックスは0.09%上昇しました。香港株式市場は0.16%下落しました。
欧州市場に関しては、フランスのCAC 40を除く主要株価先物指数は上昇して推移しています。
コモディティ: 先週金曜日の原油価格は上昇し、今週も高値を維持しています。本日のWTI原油先物とブレント原油先物はそれぞれ1.1%と1.0%上昇し、共に2014年以来の最高値を更新しました。先週金曜日に発表されたベーカーヒューズ社のリグ稼働数増は材料視されず、代わりにイランへの経済制裁再開の可能性が材料視されました。イランへの経済制裁再開の決定期限が5月12日に控えている為、今週はより重視される模様です。ベネズエラの原油生産の一段の減少への懸念も原油価格を下支えしている模様です。
ゴールド価格は約0.2%低下し、現在の所、1313ドル付近で推移しています。米ドルの回復により、過去3週間のゴールド価格は軟調推移を継続しています。
主要な動き: 先週金曜日の米ドルは荒い値動きとなるものの、終値は上昇
先週金曜日の米雇用統計は強弱混合の結果となり、米ドルの値動きを上下に動かしたものの、終値は上昇しました。非農業部門雇用者数と平均時給は共に市場予想を下回りました。4月非農業部門雇用者数は市場予想の19.2万人増に対して、16.4万人増の結果となりました。平均時給は、市場予想の前年比2.7%増に対して、前年比2.6%増の結果でした。先月結果は2.6%増に下方修正されました。そのため、当然の反応として、米ドルが下落しました。
しかしながら、市場は非農業部門雇用者数と平均時給の結果を消化し、失業率の改善に注目した為、その数時間後には米ドルは下げ幅を全て回復しただけでなく、一段と上昇しました。失業率は、4.1%から3.9%に改善し、市場予想の4.0%を上回っただけでなく、過去約20年ぶりの低水準となりました。失業率低下は労働参加率の低下も影響しているものの、FRBのよりタカ派的政策への観測を上昇させました。失業率は完全雇用水準を大幅に下回っており、今後数カ月内の賃金上昇スピードが速まる可能性が浮き彫りとなりました。これにより、FRBのより積極的な政策への期待が高まりました。ユーロ/ドルは、4か月ぶり安値まで下落しました。
新興市場に関しては、物価高、及び経常収支の赤字による通貨安により、先週金曜日のトルコリラは対米ドルで最安値を更新しました。アルゼンチンでは、通貨安を阻止する為に、政策金利が40%まで引き上げられました。
本日これからの市場: ユーロ圏Sentix投資家信頼感指数、米消費者信用残高発表、貿易問題進展に注目
GMT0830には、ユーロ圏5月Sentix投資家信頼感指数が発表され、過去3か月の連続での低下後、上昇が予想されています。世界市場の鈍化、及び特に米中間を中心とした世界貿易摩擦が今年前半の経済鈍化の主要因として見なされています。
GMT1900には、米3月消費者信用残高が発表され、前月結果の106億ドル増に対して、160億ドル増が予想されています。
株式市場に関しては、今週も多数の米企業の決算報告が予定されています。火曜日にはウォルトディズニーが、木曜日にはエヌビディアの決算が発表されます。本日、ワシントンではNAFTA交渉が再開する為、株式市場は世界貿易問題の進展に引き続き影響を受けるでしょう。先週の米中通商協議では大きな進展が見られなかった為、市場の関心は引き続きあらゆる進展に向けられるでしょう。貿易問題の進展は、株式市場だけでなく、通貨市場、及び債券市場にも影響するでしょう。
本日には多数のFOMCメンバーの発言が控えています。GMT1225には、アトランタ連銀のボスティック総裁が、GMT1800にはリッチモンド連銀のバーキン総裁の講演が控えています。両者共に本年度のFOMCで投票権を持っています。本年度にFOMCで投票権を持っていない3名のFOMCメンバーの講演も予定されています。GMT1800にはフィラデルフィア連銀のハーカー総裁が、GMT1930にはダラス連銀のカプラン総裁とシカゴ連銀のエバンス総裁の講演が予定されています。
テクニカル分析: 1週間ぶり高値まで上昇後のゴールド下落、ストキャスティックでは超短期的に弱気相場の兆し
ゴールドは本日前半に1週間ぶり高値1318.88ドルまで上昇後、若干下落しました。転換線と基準線が上昇して推移していることから、短期的強気相場が示されています。しかしながら、転換線と基準線が平坦化しつつあることから、上昇勢い鈍化の可能性があります。更に、ストキャスティックでは、 %Kが%Dを下抜けていることから超短期的弱気相場が示されています。
世界的貿易摩擦が深刻化した場合、リスク逃避先資産のゴールドは上昇するでしょう。50日平均線上の1315.14ドルがレジスタンスゾーンとなるでしょう。1315.14ドルを上抜けた場合、一目均衡表の雲の下限1319.65ドルが視野に入るでしょう。この付近には、本日記録した2週間ぶり高値1318.88ドルも含まれます。
反対に、貿易摩擦への懸念が後退した場合、資金がゴールドからリスク資産へ流れるでしょう。この場合、転換線上の1313.39ドルがサポートゾーンとして機能するでしょう。1313.39ドルを下抜けた場合、基準線上の1310.26ドルが視野に入るでしょう。一段と下落すると、5月1日に記録した4か月ぶり安値1301.64ドルを試す展開となるでしょう。
米ドルの値動きは、引き続きゴールドの値動きに影響するでしょう。