マーケットプレビュー-米国債利回り上昇で米ドル高、ユーロ圏PMI指数に注目

投稿日: 2018年4月23日19時21分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場: 先週金曜日に米国債利回り上昇を受けて大幅に上昇した米ドルインデックスは、本日も上昇したものの、上昇幅は0.1%未満でした。先週金曜日のカナダドルは、カナダ消費者物価指数の低調な結果により下落しました。北朝鮮リスク後退により、リスク逃避先資産の円は下落しました。

株式市場: 米長期国債利回り上昇を受けて、先週金曜日の米株式市場は下落して引けました。利回り上昇により国債がより安全且つリターンの高い投資先にとなるため、通常、国債利回り上昇は株価下落に繋がります。ナスダック指数は1.27%、S&P総合500種は0.85%、ダウ工業株30種は0.82%下落しました。米主要株価先物指数は上昇して推移していることから、本日には上昇してのオープンが予想されます。

アジア株式市場では、日経平均株価が0.33%下落し、トピックスも0.02%下落しました。香港株式市場は、0.31%下落しました。

欧州市場に関しては、殆どの主要株価先物指数が上昇して推移していますが、上昇幅は限定的です。

コモディティ: 本日の原油価格は若干下落しました。WTI原油先物とブレント原油先物はそれぞれ0.2%と0.15%値下がりしたものの、3年半ぶり高値付近を維持しています。先週金曜日、トランプ大統領は、原油価格を高値で維持しているとしてOPECを非難しました。更に、ベーカーヒューズ社が発表したリグ稼働数に増加が見られました。トランプ大統領の発言とリグ稼働数増加は、原油市場の強気相場に追い風となりました。

先週金曜日に米ドル高を受けて大幅に下落したゴールド価格は、本日も若干下落しました。ゴールドは米ドル建てで取引されている為、米ドルが上昇すると、米ドル以外の通貨で取引している投資家にはゴールドの魅力が低下します。

主要な動き: 米国債利回り上昇で米ドル高、カナダCPIの脆弱な結果でカナダドル安

先週金曜日には、米長期国債利回り上昇により、米ドルインデックスは4月6日以来の最高水準まで上昇しました。本日の米10年債利回りは、2014年以来の高水準2.979%まで上昇し、米ドル高の要因となりました。

米財政赤字への根強い懸念の一方で、原油価格上昇がインフレ上昇観測の追い風となり、貿易問題と地政学リスクが後退したことが、最近の国債利回り上昇に繋がった模様です。地政学ニュースに関しては、先週末、北朝鮮が核実験とミサイル発射テストの即時の停止を誓約しました。貿易問題に関しては、先週土曜日にムニューシン米財務長官が貿易交渉のための中国訪問の意向を示したことにより、貿易問題が深刻化せずに、交渉によって解決する期待が高まりました。

今週の円は軟調なスタートとなり、対米ドルでは0.15%、対ユーロでは0.1%下落しました。貿易問題と地政学リスクの後退により、リスク逃避先資産と見なされる円への需要も低下しました。

本日のカナダドルは下落し、先週金曜日の下げ幅を拡大させました。先週金曜日に発表されたカナダ消費者物価指数の脆弱な結果により、近々の利上げの可能性が後退しました。カナダ中央銀行のポロズ総裁は、インフレの2%越えを危惧していないことを改めて示しました。ポロズ総裁は、インフレ目標は1-3%であり、一時的な2%を超えは利上げに繋がらないと発言しました。最近のカナダ中央銀行の慎重な姿勢を考慮すると、5月利上げの可能性は低いようです。しかしながら、市場は利上げに期待しており、7月利上げの可能性は76%となっています。

本日これからの市場: ユーロ圏PMI、及び米中古住宅販売件数に注目

本日には外国為替市場に影響する経済指標の発表は殆ど控えていません。おそらく最も注目される経済指標は、ECB政策会合を数日後に控えたユーロ圏4月PMI指数になるでしょう。

GMT0800には、ユーロ圏4月PMI総合、製造業PMI、及びサービス業PMIが発表されます。50の拡張範囲の維持が予想されていますが、今年に入ってからの好調な結果から若干鈍化しつつあります。そのため、ユーロ圏経済がピークに達したとの観測が支持され、ECBによる金融正常化がより複雑になる可能性があります。今週にはECB政策会合が開催され、木曜日には金融政策が発表されます。

ユーロ圏PMI発表前のGMT0730にはドイツから、GMT0700にはフランスからもPMI指数が発表されます。既に発表された仏4月製造業PMIは市場予想を下回りましたが、仏サービス業PMIは市場予想を上回り、ユーロを若干押し上げました。

GMT1230には、カナダ2月卸売売上高が発表されます。GMT1345には米4月マークイット製造業PMIが、GMT1400には米3月中古住宅販売件数が発表されます。製造業PMIは若干の鈍化が予想されているものの、依然として拡張範囲を維持する見通しです。中古住宅販売件数は、好調な結果となった前回結果を若干上回る模様です。住宅提供側の問題が再度中古住宅販売に影響したようです。

GMT1930に予定されているカナダ中央銀行の総裁と副総裁の下院の常任委員会出席は、カナダドルトレーダーの注目を集めるでしょう。GMT1400には、ECBのクーレ専務理事がコンファレンスに出席予定です。

テクニカル分析: EURUSDは短期的弱気相場

EURUSDは先週火曜日に約4週ぶり高値1.2413ドルまで上昇後、金曜日には2週ぶり安値1.2249ドルまで値を切り下げました。現在、 EURUSDは1.2249ドルを約30ピップス上回る水準で推移しています。RSIは50の中間線を下回り、短期的弱気相場が示されています。RSIの緩やかな下落は、下落圧力が強くないことを示しています。

本日後半に発表されるユーロ圏PMIが予想を上回る結果となった場合、EURUSDは上昇するでしょう。この場合、50日平均線上の1.2327ドル付近がレジスタンスゾーンとなるでしょう。この付近には20日MAも控えています。更に、1.23ドルもレジスタンスとして機能するでしょう。

反対に、ユーロ圏PMIが予想を下回る結果となった場合、EURUSDは下落するでしょう。この場合、ボリンジャーバンド上の1.2236ドル付近がサポートゾーンになるでしょう。この付近には、先週に記録した2週ぶり安値1.2249ドル、及び4月6日に記録した8週ぶり安値1.2214ドルが控えています。100日MAの1.2212ドルの近くに控えています。

本日発表される米経済指標もEURUSDを動かす要因となるでしょう。