マーケットプレビュー-英中銀のカーニー総裁の発言でポンド安、カナダCPIと小売売上高に注目

投稿日: 2018年4月20日19時54分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場: 米国債利回り上昇を受けて昨日に上昇した米ドルインデックスは、本日には殆ど動きが見られませんでした。イングランド銀行のカーニー総裁が5月利上げが確実ではないことを示唆したことにより、ポンド/ドルは昨日の下げ幅を拡大させ、本日には0.3%下落しました。

株式市場: 米長期国債利回り上昇を受けて、昨日の米株式市場は下落して引けました。米長期国債利回り上昇は、株式への需要低下に繋がる傾向があります。ナスダック指数は0.78%、S&P総合500種は0.57%、ダウ工業株30種は0.34%下落しました。本日の米主要株価先物指数の動きが下落してのオープンを示している為、米株式市場の下落基調は本日も継続する模様です。

アジア株式市場もほぼ下落基調となりました。香港株式市場は0.68%下落しました。日経平均株価は0.13%下落したものの、トピックスは0.05%上昇しました。

欧州市場に関しては、殆どの主要株価先物指数が上昇して推移しています。

コモディティ: 本日の原油価格は若干下落し、WTI原油先物とブレント原油先物は共に0.2%下落しました。最近の原油価格下落にも関わらず、昨日のWTI原油先物とブレント原油先物は2014年以来の高値を更新し、高値を維持しています。サウジアラビアが原油価格の100ドル達成を目指していること、及び米原油在庫の予想外の低下が原油価格急騰に繋がりました。

ゴールド価格は昨日の下げ幅を拡大させ、本日には0.1%下落し、直近では1オンス1342ドル付近で推移していました。ゴールド価格下落の要因は、米ドルの回復です。米ドルが上昇すると、米ドル以外の通貨を使用している投資家にとって、米ドル建てのゴールドの魅力が低下し、需要も低下します。

主要な動き: 英中銀カーニー総裁の発言でポンド安、米国債利回り上昇で米ドル高

今週前半にポンド/ドルは2年ぶり高値まで急騰した後、今週の英経済指標の脆弱な結果と昨日にイングランド銀行のカーニー総裁が5月利上げが確実ではない可能性を示したことにより、ポンド/ドルは下落を継続しています。

カーニー総裁は、次回利上げの正確な時期はさほど重要ではなく、より重要なのは利上げの過程であると述べました。カーニー総裁は、最近発表された英経済指標の強弱が混合した結果にも言及し、英国のEU離脱による不透明感が投資の伸びを妨げ、生産性低下に繋がっていると指摘しました。カーニー総裁は、全体的に慎重な姿勢を示しました。そのため、5月利上げを期待してポンド高を支持していたトレーダーは落胆しました。カーニー総裁の発言後の5月利上げの可能性は、67%から44%に低下しました。

昨日は、米長期国債利回り上昇により、米ドル高が進みました。米10年債利回りは、2月の高水準2.95%を若干下回る付近で推移しています。国債利回り上昇に最初は反応しなかった米ドルが、遂に反応し、米ドルインデックスは10日ぶり高水準まで上昇しました。国債がより高利回りで且つより安全な資産になると株式の魅力が低下する為、通常、国債利回り上昇は株式下落に繋がり、昨日の米株式市場は下落しました。

本日は円安が進み、円は対米ドルとユーロでそれぞれ0.15%と0.1%下落しました。本日発表された日3月全国消費者物価指数は、市場の予想通り鈍化し、日銀に量的緩和終了を検討させる要因にはなりませんでした。

豪ドルとNZドルは、米ドル回復により、昨日の大幅な下げ幅を拡大させ、本日には対米ドルでそれぞれ0.2%と0.4%下落しました。

本日これからの市場: カナダ消費者物価指数、カナダ小売売上高、ユーロ圏消費者信頼感発表

本日には多数の経済指標発表が控えていない中、市場の主要な関心はカナダ消費者物価指数、及び小売売上高に向けられるでしょう。ユーロ圏消費者信頼感も若干の注目を集める可能性があります。

カナダ3月消費者物価指数は、GMT1230に発表されます。前月結果の前年比2.2%増に対して、前年比2.4%増が予想されています。本指標の好調な結果はカナダドル上昇要因になるでしょう。しかしながら、今週前半に開催された政策会合では、カナダ中央銀行がインフレ上昇が一時的現象と判断していることから、カナダドルの大幅な上昇は期待できないでしょう。前月比では、前月結果の0.6%増から0.4%増への鈍化が予想されています。コアでの消費者物価指数もカナダ中央銀行が重視する為、市場は注目するでしょう。

GMT1230には、カナダ2月小売売上高も発表され、前回結果と同様の前月比0.3%増が予想されています。自動車を除くコアでの小売売上高は、前回結果の前月比0.9%増から前月比0.3%増への鈍化が予想されています。

GMT1400には、ユーロ圏4月消費者信頼感が発表され、昨年10月以来の最低水準となる-0.20が予想されています。

本日には、GE、及びハニーウェル・インターナショナルを含む米企業の決算報告が予定されています。

GMT1700ベーカーヒューズ社が発表するリグ稼働数は、最近の原油価格急騰により、市場の注目を集めるでしょう。

政策担当者の発言に関しては、GMT1340には本年度にFOMCで投票権を持たないシカゴ連銀のエバンス総裁が、GMT1515には本年度のFOMCで投票権を持つサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が発言予定です。本日も世界各国の財務相、及び中央銀行総裁が集うIMFと世界銀行のサミットが開催中です。

テクニカル分析: USDCAD10日ぶり高値、しかし上昇勢い失速の可能性

昨日、USDCADは10日ぶり高値1.2675カナダドルを更新し、本日は1.2675カナダドルを数ピップ下回る水準で推移しています。現在のRSIは横ばい推移しているものの、ここ数日間の全体的な動きとしては上昇しています。これは、上昇勢い失速の初期兆候の可能性があり、今後より保ち合い相場に近づく可能性があります。

本日発表されるカナダ経済指標が好調な結果となった場合、USDCADは下落するでしょう。この場合のサポートゾーンは、前回の高値1.2622カナダドル付近、及び50日平均線上の1.2603カナダドルになるでしょう。

反対に、カナダ経済指標が低調な結果となった場合、USDCADは上昇するでしょう。この場合のレジスタンスゾーンは、ボリンジャーバンド上の1.2693カナダドル、及び100日MAの1.2715カナダドルとなる可能性があります。