マーケットプレビュー-カナダ中銀の慎重な姿勢でカナダドル安、英小売売上高に注目

投稿日: 2018年4月19日19時45分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場: 本日の米ドルインデックスは上昇したものの、上昇幅は0.1%未満でした。豪ドル/ドルは、コモディティ価格急騰により、0.2%上昇しました。昨日のカナダ中央銀行の慎重な姿勢で下落したカナダドルは、本日には対米ドルで安定して推移しました。

株式市場: 昨夜の米株式市場は強弱混合となりました。ナスダック指数とS&P総合500種はそれぞれ0.2%と0.1%上昇したものの、ダウ工業株30種はIBMの低調な決算報告により、約0.2%下落しました。米主要株価先物指数は、現在の所、中立水準で推移しており、昨日と同様の水準でのスタートが予想されます。

アジア株式市場に関しては、日経平均株価とトピックスは上昇したものの、上昇幅は限定的で、それぞれ0.15%と0.03%でした。香港株式市場は1.0%も上昇しました。

欧州市場に関しては、主要株価先物指数は強弱混合の動きとなっています。

コモディティ: 昨日に急騰した原油価格は、本日も上昇幅を拡大させました。WTI原油先物とブレント原油先物は2014年ぶり高値を更新しました。サウジアラビアの原油価格を80ドルから100ドルに押し上げたい意向が報道され、サウジアラビアとOPECによる減産継続の憶測が強まったことが原油価格急騰の要因でした。米エネルギー省が発表した原油在庫に予想以上の低下が見られたことも、原油価格上昇を加速させました。

本日のゴールド価格は0.3%上昇しました。リスクオフによる要因は見られない為、ゴールド価格の上昇は、コモディティ価格の全般的な上昇に起因したようです。米国のロシアへの新たな制裁による影響が懸念され、ニッケルは3年ぶり高値まで、アルミニウムは6年ぶり高値まで急騰しました。

主要な動き: カナダ中銀の慎重姿勢でカナダドル安、英CPIの低調な結果でポンド安

昨日のカナダ中央銀行による金融政策発表を受けて、カナダドルは下落しました。市場の大半の見方通り、政策金利は据え置かれました。声明文は慎重な内容となり、利上げ間近等のタカ派的内容を期待していた投資家を落胆させました。カナダ中央銀行は最近のインフレ上昇が一時的な上昇と判断し、地政学リスクと貿易問題を経済見通しに影響を及ぼす主要なリスクとして挙げました。

カナダの7月利上げの可能性は約95%付近から80%まで低下しました。昨日の原油価格の急騰が、カナダドルの一段の下落を阻止ました。市場の関心は、明日に発表されるカナダ2月小売売上高、及びカナダ消費者物価指数に向けられるでしょう。

ポンドは、英3月消費者物価指数の脆弱な結果を受けて下落しました。消費者物価指数とコアでの消費者物価指数は共に市場予想を下回り、予想外に低下しました。ポンドは予想通りに反応して下落したものの、英5月利上げの可能性には影響が及ばず、依然として67%を維持していることは興味深いです。したがって、市場は今回の消費者物価指数が5月利上げに影響しないと見なしているようです。最近の英経済指標の弱い結果は、イングランド銀行によるもう一つの「慎重な」利上げを示唆していると市場は判断しているようです。昨年11月には、イングランド銀行の慎重な姿勢にも関わらず、利上げが実施されたことは記憶に新しいです。

豪ドルは、雇用統計の低調な結果にも関わらず、コモディティ価格の全般的な上昇により、対米ドルで0.2%上昇しました。NZドルも対米ドルで上昇したものの、上昇幅は0.1%未満でした。

 

本日これからの市場: 英小売売上高に注目

本日には多数の重要な経済指標の発表は予定されていませんが、最も重要な経済指標は英3月小売売上高になります。

GMT0830には英3月小売売上高が発表されます、前月比では鈍化が予想されているものの、前年比では上昇が予想されています。燃料を含まないコアでの小売売上高も注目され、同様に前月比での鈍化と前年比での上昇が予想されています。最近発表された賃金とインフレ指標の予想を下回る結果がここ数日のポンドを下落させたことから、本日の指標により注目が集まるでしょう。

GMT1230には、米週次新規失業保険申請件数、及び米4月フィラデルフィア連銀製造業指数が発表されます。同時刻には、カナダADP非農業部門雇用者数が発表されます。

米企業の決算報告は継続し、引き続き株式市場に影響するでしょう。

GMT1200とGMT1330には、FOMCで常時投票権を持つ、ブレイナードFRB理事とクオールズFRB副議長の講演が控えています。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事と世界銀行のシム・ヨム・キム総裁が出席するニュースコンファレンスも注目される可能性があります。

テクニカル分析: ゴールド価格は5日連続で上昇、短期的強気相場

ゴールドは5日連続で上昇し、現在の所、昨日の8日ぶり高値1355.58ドルを若干下回る水準で推移しています。転換線が基準線を上回り、短期的強気相場を示しています。しかしながら、基準線が平坦化しつつあることから、上昇勢いの失速の可能性があります。

貿易問題、及び/或いは地政学不透明感が上昇した場合、リスク逃避先資産を上昇させるでしょう。この場合、昨日の高値1355.58ドル付近がレジスタンスゾーンになるでしょう。一段と上昇した場合、4月11日に記録した1365.11ドルが視野に入るでしょう。この付近には、1月末に記録した21か月ぶり高値1365.89ドルも控えています。

反対に、貿易問題、及び/或いは地政学リスクが後退した場合、ゴールドは下落するでしょう。この場合、転換線上の1345.93ドルがサポートゾーンになるでしょう。

また、米ドルの値動きも米ドル建てのゴールドの値動きに影響するでしょう。